「生きていて」、ただそれだけを願って!
だいたい15分ぐらいで病院についたと思います。
裏口の玄関前に車を乗り捨て、
「生きていて、なんとか命だけは」と願いながら長男のもとへ目指しました。
この時は、みんな頭の中が真っ白で思考停止の状態でした。
目の前に私服の警察の方が現れ、私たち家族を案内してくれました。
妻と長女と次男は先に処置室に入っていきました。
わたしはその場にしゃがみ込み、なかなか部屋に入ることが出来ませんでした。
現実を見るのが怖かったんだと思います。
警察の方に抱えられ部屋に入りました。
そこには、ストレッチャーの上に半分目を開けたままの息子が横たわっていました。
それを見た瞬間、脳がバグった様な理性が吹っ飛んだ様な感覚になり、
「えっなに、どういうこと、死んだの、なんで、どうして」この言葉が頭の中をグルグルと回り続けていました。
目の前の現実を理解することができませんでした。
医者の先生に何とか息子を救ってくれとすがりつきました、
先生は冷静に、「ほぼ即死で、救急車で運ばれて来たときには、もう手の施しようがありませんでした」
というだけでした。
「えっ死んだの…」
もう意味が分からない、どうしたらいいのかもわからない、
ちょっと前までは普通にしゃべっていたのに、
「なんで、どうして、ちょっと待ってくれと、どうしたらいいの」と、気が狂いそうになりました。
この時の感覚は、悲しいなんて気持ちは全然通り越して、絶望で精神は崩壊しました。
例えるなら、ずっと心をナイフでめった刺しされているような、
身体の一部をちぎられているような、そんな痛みや恐怖を感じていました。
この時から1ヶ月ぐらいは、現実と妄想の世界を行ったり来たりで、
見えるものすべてに霧がかかっているようでした。